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しかし、その姿には普通の狼には無い違和感が有った。
まず驚くべきはその体長、下手をすれば200㎝はあるのではないかと言うほどに大柄だ。
それに、体格も妙だった。腕と脚は太く長く発達し、胴体も肩幅はがっしりとして広く、逆三角形になっている。体全体がどことなく人間に近い比率をしているように見える。
狼と人の中間のようなその姿を例えるならば、さながら人狼と言ったところだろうか。
人狼はその血走った目をぎらりと光らせ、大木をもへし折ってしまいそうな巨腕を男の頭上へと一気に振り下ろす。
背後からの攻撃を鎧の男は半身を翻しただけでさらりとかわすと、地面に体を叩きつけるようにして着地した人狼の側頭部へ、そのまま回転する勢いで左手の刀を横なぎに斬り払った。
刃がまともに当たったにも関わらず人狼は血を流すこともなく、がつん、という鉄同士がぶつかったような鈍い音を残して鼻先から地面につんのめり、草を押し倒しながら地面をごろごろと2、3回転、うめき声をあげたきり人狼は動かなくなった。
初めの一匹がやられたことで刺激されたのか、他の人狼達が次々と鎧の男に襲いかかる。
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