大地の塔

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 鮮やかな夕日に染まって、黄金の波を思わせる草原の草花のさざめき。  今にも消え入りそうに白く儚い三日月が浮かぶ、雲までも朱い空……。  遥か遠い空には一番星が顔を出し、その弱々しい光に追われるかのごとく太陽が沈んでゆく。  それをこの場所に佇んで見る度に、自分も時の流れに身をまかせて生きているうちの一人なのだと実感する。  この世が出来てから繰り返されてきた、闇は光を制し、光もまた闇を制すという原則を、改めて知るのだ。  ……この塔も、そういう風に太陽と月の追い掛けっこを見てきたのだろうか。『時は待ってはくれぬもの、だから今を走り抜け』と。  だが、塔が私の問いに答えてくれることは無い。  だから実際何を考えているのかさえわからない。昨日と同じように、ただひたすらに沈黙を守っている。  もしほんの少しでも気を緩めたら、私を乗せたまますぐに崩壊してしまうと言うことを悟っているかのように。
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