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しかし、それでもよい、と私は思っている。
私のような若輩者が、このいつからあるのかも分からないほど歴史のある建造物と共に命を終えることが出来るのなら、むしろ自ら命を捧げてもよい。
私が知りたいのはただ一つ、今日まで塔がどんな事を見て考えて立ち続けてきたのか、ということだけだ。
だから、それさえ知ることが出来ればもう思い残すことなどない。
この美しい草原で、神秘の塔の残骸と共に永久に骨を埋めることが出来るのならば、それこそ本望だ。
この塔からしか見ることの出来ない、特別に美しい景色を知る人間は私一人だけでいいのだから。
──そう。
今までも、そしてこれからも。
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