ぼくは知ってるよ

ぼくは知ってるよ
きみが生まれてきたこと

ぼくは知ってるよ
きみがおんなのこだってこと

ぼくは知ってるよ
ハンバーグが大好きなんだね

ぼくは知ってるよ
ジュースをこぼして怒られて泣いてる時、ほんとはそんな自分が悔しんだね

ぼくは知ってるよ
きみは黄色のランドセルがよく似合うこと

ぼくは知ってるよ
ぼくが走り出したら、きみも走り出すこと

ぼくは知ってるよ
きみはぼくをまくらにして眠るの大好きだってこと

ぼくは知ってるよ
ぼくはきみと遊んでるときの笑顔がいっちばん好きみたいだ

ぼくは知ってるよ
ぼくはおじいちゃんなんだね

ぼくは知ってるよ
きみが走り出してもあまりついていけなくなったぼくを

ぼくは知ってるよ
もうすぐ…きみとお別れすること…

やだっ！

もっときみに伝えなきゃ！
あのねぼくは知ってるよ
きみの夢、獣医さんでしょ！！

ぼく…うれしかったよ！
きみが獣医さんになっておじいちゃん犬、元気にするって言ってくれたことっ！

ぼく…うれしかったよ！
その時、涙がとまらないようなあふれる気持ちだったんだ！

やだやだっ！

もっときみの顔見てたいのにっ！

あ！！泣かないで！
ぼく、がんばるから！

最後にきみの笑顔、目に焼きつけたいんだ！………

まっくらだ……でも、見えてるよ、きみの笑顔。よかったぁ……きみの顔、忘れてないみたい。

…ぼく、一つだけ知らない

ぼくね、生まれてきてよかったよ、きみに会えて幸せだったよ。

ねぇ、きみは幸せでしたか？

うん。わたし、すごく幸せだった…

あなたのまくら、とってもあったかいんだよ。