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宮園 繭(ミヤゾノ マユ)
*
自分は疲れているのだろうか………と、現実逃避をしようとした。
が
今までの経験の記憶が、それをさせてはくれなかった。
まぁ……自分が"魔術師"と自覚する以前からだもんなぁ、と諦念の感が込み上げてきた。
これは、自分が"魔術師"からだろうか。
こんなにもはっきりと見えるのは。
この世に半透明の人間(少なくとも生きている)はいないだろう。
ちゃちな言葉で言えば幽霊。また同時にそれ以外に言いようがない。
今、視線の先にいるあの可愛らしい……半透明な彼女も、またその類いなのだろう。
「はぁ………」
ため息が漏れる。
幽霊と視線が合うなんて………つくづくついていない。
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