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そんな所で働く彼は、この日、この暑さに耐えかね、冷たい飲み物も出してくれない非情な職場を後にし、全力疾走でここまでたどり着いた訳だ。
が
この有り様である。
金が足りなくて、まさにこの世が終わるような表情をしながら、
「……死のうか」
などと本気で言っている。
だが、この程度のことで、と彼を責めてはいけない。
この気温40度はいっているのではないかと思える暑さの中、全力疾走で5kmを数十分で走ったのだ。
その挙げ句、飲み物は買えず、また5kmを走らなければいけない。
泣きっ面に蜂とはこのことか。本当に目もあてられない。
だが、こんな情けない男が、魔術師"月光 煉"なのである。
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