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「ところで水無月さん……」
途端に水無月さんの声が真剣なものとなり
「ダメだ」
「………」
まだ、何も言っていない。
と、言おうと口を開こうとすると、
「どうせ、自販機まで飲み物買いに全力疾走した挙げ句金がなくて買えなかったのに絶望して、ここに帰る気力すらないので、このまま家に帰ります……とか言うんだろ?」
えぇ、もう完璧です。
本当に水無月さんは普通の人間なのだろうか……。
「まぁ………そういう訳なんです、では」
「待て待て、ダメだと言ってるのが」
ピッ
何でこういうところはしっかりしてるかなぁ……所長だからか。
ともあれ、これで僕の平和を邪魔する者はいなくなった。
ここから家までは1kmあるかないかだから、ゆっくり歩いていこう。
そう決心し、月光は本当にゆっくり、ゆっくりと、彼は商店街の方を見据え、歩を進めていった。
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