100人の女と1匹の猫

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    「ねぇねぇそのコの名前は?」     名前…? んなもんあるかよ。 そもそも性別わかんねえし。 んー、雌(めす)…っぽい。     「…りえ」     とっさに出た名前がこれだった。ペットなんて飼った事もないし興味もなかったからか、人間染みた名前になってしまった。 しかしりえと言えば、かつて俺が知り合った女の中で唯一俺に説教してきた奴だ。 あぁ気分わりぃ…。     「りえ?好きな人の名前かなんか?」     「ちげぇし!なんとなく思い付いたけんつけたったい」     「ふ~ん、可愛いやん。ってかてかクリスマスもぉすぐやん!こぉた何すると?」     クリスマスか。 そうかもうそんな時期になったんだな。 この女はどうせまた男を連れ回して遊ぶんだろうな。 かつて俺がこの女で遊んでいた時の様に。     「わからん。とりあえず彼女と何かするっちゃろぉと思う」     「マジ!?こぉた彼女おったったぃ!なぁんだ、今月お金あんま無いけんどっか連れてってもらおうと思っとったのに」     何を言ってんだこのボンボンは。 金ならいくらでもあるだろうに。 月の仕送りが50万ってのは少ないのか?     「お前彼氏おるやん。そいつと遊べばいい」     「あぁ、アイツ最近全然面白くないけんね。まっ、でもこぉた彼女おるならいいや!ってかこぉた彼女作らんとか言いよらんやった?」     確かに言っていた。 俺の猫被りな性格はそもそもモテる為の偽装。特定の彼女を作ってしまえば寄ってくる女は減るし、仮に浮気したとしてもバレた時に信用を失ってしまう。 だから彼女は作らず、上手くいろんな女と遊んでいたのだ。   だが、そんな俺にも本気で好きな女ができた。それが今の彼女と言う訳だ。 今まで遊んできた女共とは違って大切な存在だ。     「そんな事も言いよったねぇ。まぁ昔の話やけん今は変わったったい」     …変わってねぇか。     彼女ができた俺には問題があった。 彼女と付き合った当初は女遊びはキッパリやめていた。が、生まれながらのこの性格。俺がそんな簡単に女遊びをやめれる訳がなかった。 軽く遠距離なのをいい事に、他の女を引っ張り回して遊ぶ毎日。しかしそれでも俺は、そんな自分に酔っていたのだ。     「へぇ~…あっ、そうそう!今日こぉたにプレゼントがあるっちゃん!」     …プレゼント? 何だそりゃ?     「あんた昔私で遊びよったやろ?そのお返ししとこぉと思って」  
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