100人の女と1匹の猫

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    …? 何言ってんだこいつ。     すると、女は俺の後ろの方に目をやり相づちを打った。 俺は気になり後ろを向く。     …!?     俺の背後には黒服の黒人が2人、何やら手に布の様な物を持って立っていた。   俺は焦った。焦らない訳もない。 俺の本能が逃げろと叫び、俺はとっさに走り出した。 その時に、俺の腕にりえがしっかりと抱かれていたのが未だに理解出来ない。   しかし、逃げ切れるはずもなかった。 人の通らない路地裏で助けを呼ぶ事もできず、俺は間も無く2人の黒人に取り押さえられる。 そして、意味もわからず必死に抵抗する俺に、1人の黒人が手に持っていた布を俺の口にあてた。     まさか…     それは映画などでよく見る麻酔の様な物で、吸った瞬間から俺の視界は閉ざされていく。   薄れていく意識の中で、あの女の甲高い笑い声と、りえの悲しげな鳴き声が聞こえていた。                                  
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