100人の女と1匹の猫

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          ……          …………。          ……………!!!           …何だここは。       俺は目を覚ました。 それと同時に辺りを見渡す。 どうやら今俺がいる場所は、自分の部屋のベッドでも先程黒人にやられた路地裏でもない様だ。   俺は椅子に座っていた。腰には椅子から出たシートベルトの様な物を巻かれ、両手は背もたれの後ろに回した状態で手錠をつけられている。 足は床から伸びた鎖により固定されていて、喋る他には何もできない…完全に逃げられない状態だ。 しかし、なりより俺が嫌だったのは、全裸という事だった。 幸い暖房は効いているようで寒くはなかったが…。   ここは6畳ぐらいの四角形の部屋だ。 俺が座っている椅子を中心に、正面には鉄格子の扉、左に木製の古いベッド、右後ろにはむき出しのトイレと壁から出た蛇口がある。 あとは小さな電球がぶら下がっているぐらいで他には何もない部屋だった。     まるで牢屋だな。 ってかまんま牢屋だ。 しかしあの女もこんな事する暇あるなら整形でもしろっつうの。 黒人まで雇いやがって、どう考えてもまともじゃない。     ………ん。 そういえば俺はどうやって小便に行けばいいんだ? トイレはあるのに動けない。 まずい…漏れそうだ。     と、その時。 どこからか足音が聞こえ、しばらくして鉄格子の扉の奥に人間が現れた。 あの女だった。     「やっほ。気分はどぉ?うわっ、丸見え~!恥ずかし!」     「貴様何しよぉとや?こら犯罪ぜ」     「は?私の為に罪被ってくれる男とかいっぱいおるし。アンタに騙されとったってのがどぉしてもムカつくけんね」     「勝手にお前が俺に貢(みつ)ぎよったっちゃろぉが。アホやねぇとや?」     女の顔が歪む。     「あっそ。マァジでイラっと来るね!まぁ今日からアンタはココで苦しんでもらうけどね」     「飢え死にせれってや?」     「まぁその内わかるけん楽しみにしとけば。あとはそこの外人に任せるけん文句あるならそのハゲ頭の外人に言ってね。じゃあねバイバイ」     そう言うなり女はどこかへ消えた。     外人…? どこにいるんだよそんなの。     俺は辺りを見渡す様に後ろを振り返る。 そこには俺を取り押さえた黒人がいつの間にか立っていた。  
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