100人の女と1匹の猫

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    この部屋で目が覚めてからおおよそ2時間が経った。 時計が無い為正確にはわからないが、だいたいそのぐらいだろう。 窓も無いこの部屋では外の様子も見れず、今が何時ぐらいなのかは全くわからない。   俺は美香という女が帰った後、脱力感からかその場で失禁していた。 しかし黒人はそれを見ても、何一つ反応を示さなかった。 ツンとする匂いが俺の気分を悪くしたが、それを訴えた所でこの黒人が助けてくれるはずもない。     あのクソ女…。     ふと、遠くの方から何か音が聞こえる。     …?     また足音だ。 やはり近づいて来ている様だ。     マジかよ。 今度は誰だ?もう殴る女は御免だ。 どうか警察か何かであってくれ。     近づいてくる足音が、およそ扉の前ぐらいに来た所で止まった。 心臓の鼓動が高まり、冷たい汗が垂れ、息の詰まる思いだった。 俺は恐る恐る顔を上げた。   俺の視界はぼやけ、ピントを合わせるのに少し時間がかかる。 そして大方視界が鮮明になった俺の目には、あまり期待の出来ない場景が映った。 そこには警察など味方らしき姿は見えず、見知らぬ女が立っていたのだ。 その女の表情からして、どうやら俺の願いは叶いそうもない。     「うわっ!アンタほんとにこぉた!?結構ボコボコやられとぉね!でも少しは反省する気にもなったっちゃないと?」     俺はまた見知らぬ女が来たと思っていた。 しかし、その女が喋りだした時の特徴のある低い声に俺はピンと来た。 よく見れば昔と化粧が違うだけで面影はしっかりと残っており、恐らくは俺が去年友人から奪った女だ。   しかし奪ったと言っても俺とは付き合っていない。 元いた彼氏と別れさせて俺の遊び相手にしていた、と言った方が正しいだろう。     「明美…やろ?」     女は少し顔をしかめた。     「何でちょっと自信無さげ?まぁいいけどね。ってか真っ裸やん!バリウケるし!」     …!! このやろう…。     もの凄く悔しかった。 しかしこの状況で反抗しても全くの無意味である。     「で…お前は何の用や?」     女は黒人の方に何やら合図をした。 扉の鍵の部分を指差していたから、開けろという意味だろう。   そして黒人はすぐさま動き出し、扉を開けた。     「別にたいした用やないっちゃけどぉ…ゲッ!もしかしてこれオシッコ!?」     女は扉から2~3歩歩いた所で俺の尿に気付き、足を止めた。  
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