52人が本棚に入れています
本棚に追加
T本さん、60歳半ば。
初めて会った時は… 普通の服を着てるのに、顔が…役者みたいなドーランが塗ってあった!
(この親父、たかが飲み屋に行くのにこんな厚いメイクすんのか?)
と驚いていたら…親父は市民劇のメンバーで稽古の帰りだったらしい。
にしても…メイクくらい落として来いや!驚くだろがい!
ある日親父は一人で興奮していた。
聞くと…自分は小説を書いてるんだ、と。
なかなかの出来で出版社に送ったら返事が来たらしい。
『小説読ませて頂きました。あなたのセンスに感心しました。何かの時にはこちらから連絡致します』
みたいな封書が来たらしい。
T本親父はそれを自分の都合いいように受け取り、もう小説家気分でいたのだ!
印税を何に使うかとか、初版は何部刷るか、サイン会をしようと、年の割に園児の夢みたいな事を延々語る。
私、『読んでみたいです!』
読ませてもらった。
不倫だのレイプだのが有り、殆どがそのシーン… 何じゃこりゃーーっ!己のエロ願望を書いただけかい!
私は読みたいと言った事を後悔した。
親父が感想を聞かせてもらいがてら小説を取りに来るという日、私は店に出なかった…
最初のコメントを投稿しよう!