2556人が本棚に入れています
本棚に追加
煽り文句…
「…ずっとあんたをまっていんしたよぅ」
「体が…溶けそう」
「早く、早く抱いて…」
いままで他の男に私が放ったすべての文句は、この人の前では意味をなさなくなってしまう…
言葉が、出てこないのだ。
私が沈黙していると、彼が口を開いた。
「あ…青葉殿」
ひどくおぼつかない。
「殿、は、要りやせん…青葉、と呼んでくんなさい」
「青葉…は、好きな食べものは、なんですか」
白い肌なので、頬が上気してるのが目立つ。
顔をじっとみていると、なんだか心が洗われるようだ。
「青葉……?」
「あ、たべもの…たべもの……」
仕事では絶対にされない質問に、あわててしまう。
何が好きだったか…そんなことが、思い出せない。
「兄さんは、何が好き?」
「名前を名乗っていませんでしたね、私、清太郎といいます」
にこ、っと笑う。
その笑顔をみると、胸の奥がちくちくと痛む。息をするのが、なんだか苦しい…
これは、なんなんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!