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「今日も叔父に誘われてここに来ましたが、断ることもできなかった。貴女には悪いが、私は…その、そんなつもりはないんです」
真剣な表情に、なんだかおかしくなってしまう。
「………ぷっ」
我慢していたのに、笑いがもれてしまった。
もれてしまったら、もう止まらない。
「くっくっくっ…」
私が笑っていると、彼も吹き出した。
二人で、なんだか分からない理由で、笑い転げる。
「あ、あはは…」
こんなに笑ったのは、何年ぶりだろう。
「じゃあ、清さん、今日は清い身でこの吉原を出ていくのかぃ」
「その…つもり…です」
「わっちは」
続けようとすると、胸がまた痛みだす。
「それでもかまいやせん…」
ずきん。
さっきより、ひどく痛みだす。
思わず、胸に手を当てていた。
はあ、っとため息をつく。
どうしたらいいか、分からなくなる。
「青葉…?」
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