出発の餞は橙

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  教科書通りの狂った信者は全くの常識知らず。     嗚呼、何と可哀相なものであろう。     この気狂い気味の箱庭の壁はとても高く分厚く、入り口もなければ出口もない監獄。     そこから見える高く青い空が羨ましすぎた。         この手で壊せたなら、壊せるなら。         さて、脱獄計画といえば大袈裟過ぎだが、始めようか。         新しい僕が生まれる。         記念日のケーキの上の蝋燭に明かりを灯そう。       奇麗な赤と橙のグラデーション。       溶けて消えてなくなるまで、ずっと見つめ続けていようか。    
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