出発の餞は橙

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    自分の歩く道くらい自分の足で歩けるというのに、何とも過保護なものだ。   否、過保護ではなく、貴方の名前に泥が付かないように、水捌けがよく躓かない真っ平らのコンクリート製の道を、僕に与えたんだろう。     自我など必要ないといっているのか。     馬鹿馬鹿しい。     転んで擦り剥いて、泥だらけになって、楽しみながら歩きたいんだ。       あんな一直線の面白みの無い道、誰が好き好んで歩くものか。    
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