第1章 ‐プロローグ‐

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そんな事を考えていると、電話を終えた祈織が、笑いかけてきた。 「どうかした?尚。」 祈織の笑顔を見ると、一瞬だけ、祈織が女の子のように見えた。 こういう笑みをする時は、本当に笑っているんだ。 最近、一緒に居るようになった僕でも、分かるようになった。 そんな祈織に尚も笑って返した。 「何でも無いよ、祈織。」 「そっか、じゃあ早く寮に行こう?ボク、約束があるんだ。」 その時の祈織は西からのオレンジ色の光で、眩しくて表情は見えなかったけど、声のトーンから嬉しい事があると分かる。 きっと顔は綻んでいるだろうな。
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