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寮まで移動しようと言った途端、
誰かがボクの腕を掴んだ。
誰だろう、と掴んだ相手を見ると、其処には王ノ宮 智【オウノミヤ サトル】の姿が在った。
「せ、生徒会長様!」
尚が怖れているように叫ぶ。
それに対して、ボクは瞬間的に不満そうな不機嫌な表情を浮かべる。
そして、冷やかに言う。
「…会長サン、離してくれませんか?」
掴んでいる手を指差して言う。
だが、智は少し怒ったような低い声で、言った。
「“仕事”はどうするんだ?
放課後来いと言ってあるだろう。」
「そんなの、嫌ですよ。
会長サンなんかよりも大事な人との約束があるので。」
べーッと舌を出して、手を振り払いながら、脱兎の如く走って逃げる。
「あっ!!ちょ…待って、祈織!」
ボクは足が速いから、尚が追いつく筈も無く…。
そして尚は、憧れられている、生徒会メンバー2人の間に残されてしまった。
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