第1章 ‐プロローグ‐

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寮まで移動しようと言った途端、 誰かがボクの腕を掴んだ。 誰だろう、と掴んだ相手を見ると、其処には王ノ宮 智【オウノミヤ サトル】の姿が在った。 「せ、生徒会長様!」 尚が怖れているように叫ぶ。 それに対して、ボクは瞬間的に不満そうな不機嫌な表情を浮かべる。 そして、冷やかに言う。 「…会長サン、離してくれませんか?」 掴んでいる手を指差して言う。 だが、智は少し怒ったような低い声で、言った。 「“仕事”はどうするんだ? 放課後来いと言ってあるだろう。」 「そんなの、嫌ですよ。 会長サンなんかよりも大事な人との約束があるので。」 べーッと舌を出して、手を振り払いながら、脱兎の如く走って逃げる。 「あっ!!ちょ…待って、祈織!」 ボクは足が速いから、尚が追いつく筈も無く…。 そして尚は、憧れられている、生徒会メンバー2人の間に残されてしまった。
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