第1章 ‐プロローグ‐

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「コラコラ、初対面で口説くな。 困っているだろう。」 東條さんを止めたのは、日向さんだった。 それと同時に、ひょいと持ち上げられて東條さんから離された。 離してくれたのは、王ノ宮さん。 怖い人ばかりかな、なんて思ってたけど、意外にも違うみたい。 でも、東條さんは苦手だ。 「はいはい、分かったよ。」 東條さんは素直に言うことをきいた。 日向さんには弱いのかな? なんて思いつつ、日向さん達にお礼を言う。 「ありがとうございました!」 「いや、こちらこそゴメンな。 行き成り連れてこられた上に、口説かれて。コイツはこういう奴なんだ。」 「ヒドイなぁ。俺は、尚ちゃんが可愛かったからキスしたの。」 東條さんは認めてないみたい。 自分が軽いって事を。 「それが、軽いって言うんだ。」 2人はどんどん言い合いになってく。 それが面白くて僕は2人を見ていた。 そんな中、電話がかかってくる。 着信は柚綺【ユウキ】。 「もしもし?」 『もしもし、尚?今、何処?』 「えっと…、ちょっと色々あって、生徒会室に居る…。」 『マジかよ!?ってか、寮に戻ってないから、心配したんだけど。』 「ゴメン。今戻るから、待ってて!」 そう言って電話を切った。 「あの、僕はこれで…。」 鞄を持ってこの部屋を出ていこうとした所だった。 鞄を引っ掛けて中身をぶちまけた。 急いで拾う僕。 手伝ってくれたのは、日向さん。 やっぱり優しいなぁと感じる。 拾い終えると僕はお礼を言って、すぐにこの部屋を出た。 だから、気付かなかったのだろう。 携帯を落とした事に――…。
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