第1章 ‐プロローグ‐

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「祈織!」 「‥尚。どうした?」 「あのね、祈織、これから暇? 暇なら一緒に寮に戻らない?」 少し遠慮しがちに頼む、涼木 尚【スズキ ショウ】。 “いいよ”と言い掛けて、口籠もる。 今は放課後。 一度、生徒会室に行かなきゃいけない。 「…祈織…?」 ま、いっか。 一回ぐらいサボっても。 不安そうに見つめてくる尚に、 ボクはニッコリ笑った。 その笑みは、愛想笑いなんかじゃなくて、心から笑っていた。 「いいよ。一緒に戻ろ!」 「うん!…あ、でもいいの?『Honey』の仕事は?」 「…別にサボるからいい。 第一、行きたくないし。」 ボクは少し疲れた表情を浮かべていた。
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