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毎週火、木曜。
塾から帰る時、決って7時を過ぎていた。
自転車も最近乗れるようになったばかりで、拙いバランス感覚で家に帰っていた頃、初めての恐怖体験をした。
たったったったっ………
後ろからジョギングのように走っている音がする。
こんな事は近所では日常茶飯事なので、特に気には止めなかった。
やがて僕は、右に曲がる。
たったったったっ………
左に曲がる
たったったったっ…………
ここでようやく付いて来られている気がした。
思えばずっと自分と足音との距離が変わらない
怖くなった僕は、すこしスピードを緩めて、追い越してもらおうと思っていた。
だっだっだっだっだっ…
「!!!!」
急に寒気を感じて怖くなった僕は、そっと後ろを振り向いた
ダッダッダッダッダッ……
僕の真後ろには、紅いロングコートを来た180㎝はあろうかとゆう長身の女性が、鬼神のごとき形相で僕を睨みながら追い掛けてきていた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
僕は大声をあげてペダルを思いきり漕いだ。
何度もコケそうになるほど漕いでも、足音との距離は離れなかった。
僕は急いで家の近くの小さな空き地に転ぶように入り込み、草むらへ小さな体を隠し込んだ。
足音が消えた
そっと草むらから顔をだす
そこには、長身女が足をとめ、仕切りに目を動かしながら、ずっと僕を探していた。
怖くて動けなくなった僕は、見付からないように願い続けた。
やがて、長身女は諦めたのか去って行き、僕は腰を抜かして動けなかった。
これが、僕に初めて起きた恐怖体験だった。
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