冬の温もり

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小十郎は驚いたが、すぐに居住まいを正すと抱き着いた政宗の背に片手を添え、もう片手で頭を撫でた。 滅多に見せない小十郎の優しい仕草に政宗は嬉しそうに甘えた。 幼い頃にも幾度かこんな風に抱き着いた。 母からのそっけない態度に泣き出しそうになった時、今と同じように寒さに震えた時。 そんな時小十郎はいつも言葉はかけずにそっと撫でてくれた。 小十郎がいたから耐えられた。 そう思うことは今も多々ある。 時には兄の様に叱り、時には親の様に優しく包み込む。
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