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花を届ける。
君のために。
毎日、毎日、花を探しては君の側にそっと置き、泥まみれの長髪を携えた半分腐った君の頭蓋骨の中で眠る。
今日も花をプレゼントする為に探しに出かけたけれど、見つからない。
この、じめっとした樹海の中じゃ綺麗な花を見つけるのも一苦労。
もうこれでいいや。
チロチロと舌舐め刷りをして君の元へ戻る僕。
「はい。シダ植物」
君の胸元だったと思われるところへ静かに供えた。
そして、いつもと同じように頭蓋骨に潜り込み、一休み。
君は薬で死んだんだね。僕は餓死だよ。
『死にます。探さないで下さい。』って書かれた置き手紙を見たら探さずにいられる訳がない。
君の消息を必死に追ったら樹海に辿り着いて、とにかく君を捜した。
歩くのもままならない樹海の中、一心不乱に奥へ、奥へ、と。
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