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そうしたら、見事に迷宮入り。
転んで足を怪我しちゃったりで動けないし、誰も助けに来てくれないしで、もうてんてこまい。
まさにミイラ取りがミイラになった訳で。実際、君はミイラではなかった訳だけど。
這いずってみたりはしたけれど、そのうち力尽きて、気が付いたらこの通り。
とりあえず動けるようになった事だし、君を探してさまよってみたんだ。ずっと。
出来れば人間だった姿のまま君を見つけたかった。そうすれば、君を抱えて連れ出せたのに。
「あ、蝶」
君の眼だったと思われる穴から見上げると、黒く輝く羽根を遊ぶように見せつける蝶が舞い去った。
見取れた僕は蝶を追いかける。
だけど、すぐ見失ってしまった。
辺りを見渡しながら歩く。
目に映ったのは蜘蛛が獲物をぐるぐる巻きにしているだけ。
その時─。
衝撃が走った。
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