宝石箱

2/2
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
誰もが持つ、記憶という名の宝石。 様々な出来事にあう度に起こる感情の変化や考えによって生成される生きた証となる結晶。 古ぼけて色褪せていても、時に鈍く光り悩ませる。 私達は捨て去る事の出来ない結晶を集め、今の自分を作り上げた。 決して高価とは言えないけど、どんな宝石にも負けない、世界に1つずつしか存在しない唯一無二の結晶で出来た私達。 泣き・笑い・怒り・嘆き・悔やみ・憧れ・愛し・愛され… どんなに忘れ去りたい結晶でも、今の自分の欠片に過ぎない。隅々まで生きた証で形成されているのだ。 今は疎ましく思えても、やがて愛おしく思える宝石に変わるその日まで、私達はその結晶達を自分という宝石箱にしまい込んで行く…
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!