再会

7/12
前へ
/144ページ
次へ
「じゃあ何て呼べばいいですか?」 「アナタとか、パパとか」 「半ば強制に結婚しろって言ってるようなものですね」 「そうだよ?」 平然と睦樹は言ってのけた。 「今日呼び出したのは、凜央に会うのは勿論、もう一度告白しようと思ったからなんだ」 もう、何回目の凜央への告白だろう。 最初にフラれてからもう何年経っただろう。 今思えば、昔の睦樹は強かったと改めて思う。 よく、何度も告白できたと思う。 だが、それほど自分は凜央の事を愛していたのだ。 今はどうだ?まっすぐな気持ちに嘘はないか? まさか、あるはずもない。 凜央は好きだ。 他の何よりも。 他の誰よりも。 嘘をつかず本気で向かってくる彼女に惚れた。 だから、俺は──。 「凜央。俺と婚約してくれ」 だから、俺も、彼女と同じように嘘や小細工をせずに、真っ正面から君に想いを伝えるよ。 「結婚してくれ」 差し出したのは婚約指輪。 受け取るか受け取らないか──それが大きく人生を変える。
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1800人が本棚に入れています
本棚に追加