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「……先輩は」
「……」
「先輩はどうしてそんなに強引なんですか?いきなり告白してくるんですか?」
凜央を怒らせてしまったか、と睦樹は凜央の言葉を待った。
「私を戸惑わせるような事……しないでください。私がどれだけ驚いて、心が乱れるかも知らないで……。先輩は私の調子を狂わせます」
「凜央は……俺の事、嫌い?」
睦樹は凜央が怒ってはいないことを理解した。
「……嫌いです。私を惑わせる先輩は……意地悪で……嫌いです」
「その情緒不安定の理由、教えてあげようか」
「結構です。何か先輩の思惑で導かれるような気がするので」
「聞くだけ聞いてよ。凜央、これは恋だよ」
「言いたい事はそれだけですか?」
「うん、まあ……」
「私、帰ってもいいですか?」
「ちょっと待って。俺の話、真面目に聞いてよ」
「もう聞きました」
「電車あるの?」
「レナの家に泊めてもらいます」
「今から行ったらレナちゃんに迷惑かかるんじゃない?」
「先輩がこんな時間に呼び出すのが悪いんです」
「じゃあ。俺の家、来る?」
「嫌です。先輩の家に行くくらいなら、野宿の方がマシですから」
「うっ……。可愛い顔してヒドイ事を……」
「──という事で失礼します」
「ちょ……まだ答え聞いてないんだけど……」
「答え?」
ああ、婚約の事か──と凜央は思い出す。
「答えならもう出てます。私は指輪を受け取っていない。だから私は婚約しません」
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