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入学して最初の日、クラスでは、学級委員長を決める事になる。
「早速だが、誰か学級委員長になりたい奴はいないか?」
「先生、和田さんがいいと思います」
「私もそう思います」
「和田、それでいいか?」
「構いません」
このクラスには、1人場違いな生徒がいる。
特に規則がない故に、金髪や茶髪の生徒が多い中、1人だけ目立つ黒髪を三つ編みにして、丸い眼鏡を掛けている少女だった。
一体いつの時代からタイムスリップしてきたのかというほど、セーラー服の似合いそうな少女である。(勿論、平成生まれなのだが)
この学校で、一番彼女が学級委員長を任命するに相応しい人物だと思われた。
しかもセリフは、400字詰め原稿用紙1行にまったく届かない。
「早速だが、今日の放課後生徒会室に行ってくれ。生徒会長から話があるそうだ」
「わかりました」
「……」
普段、服装が乱れている生徒への対応には慣れている教師も、こんなにも真面目な生徒に出会った事がなかったのか、対処に困っているようだ。
「……」
物語のヒロインとしては最低ランクの「暗いヒロイン」。
なぜこの少女がこの学校に入学したかは不明だが、この雰囲気はとても気まずい。
「?」
首を傾げたこの少女、和田凜央には、この状況がわかっていないようで……。
和田凜央は、とても神経の図太い少女だと、確信できた。
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