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「そう……ですよね」
その後、続々と他の生徒会メンバーと、1年B組の学級委員長が集まるが、黒髪なのは、生徒会長と凜央だけだった。
明らかに、この2人が浮くはずなのに、生徒会長、黒沢睦樹は、見事に場の雰囲気に馴染んでいた。
まるで空気が違う。
「……」
凜央はその光景を、黙って見ていた。
なぜ、彼はこの中で浮いていないのかを考えていた。
「1年A組、和田。聞いてるか?」
「聞いています」
髪を染めていても、やはりこの人たちが生徒会だからか?
「いくらあまり校則がないからと言って、あまり怠けないように、1年は、校則を読んでおくように」
睦樹が校則一覧の紙を配る。
生徒手帳に校則は書いてあるはずだが、生憎まだ1年には配られていない。
「生徒手帳が配られたら、クラス全員に校則を読むように伝えてくれ」
「わかりました」
B組の学級委員長は、髪を茶髪に染めているが、とても人当たりの良さそうな少女だった。
「あ。あたし、本庄玲奈。レナって呼んで」
「和田凜央です」
凜央の自己紹介はたったそれだけだった。
「個人の自己紹介は後でしろ。1年に配った資料はこれで全部だ。明日、クラスで配布してくれ」
クラスの人数分のプリントをもらった2人は、どうしていいのかわからず、顔を見合わせる。
「明日まで、このプリントはどこに保管しておけば?」
「教室だ。当たり前だろう?今日はこれだけだから早く行ってくるといい」
2人はしぶしぶ各自の教室までプリントを運ぶ。
「……」
そして寂しく、家に帰るのだった。
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