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ベッドの下、机の下、カーテンの裏側と探し終えて、残すはクローゼットのみとなった。
いないとわかってやっているから、物凄く無意味な行為に思えた。
クローゼットの取っ手に手を掛け、少しだけ開いたら、何かが戸にもたれ掛ってくるような感触がした。
何かを詰め込んでいて、それが雪崩れ込んできたのか、結構重い。
体を少し引いて、戸を放すと、その重みで戸が全部開いた。
ドスン、と重い音がしてそれが床に倒れこんできた。
それは、なんだかわからなかった。
大きくて所々黒っぽい染みのような物があり、黒ずんだ汚い布に包まれている。
なんだか、さっきから変な臭いがする。
硫黄のような臭いが部屋全体に漂っている。
臭いの発生源はこの布の塊なのか、まるでエジプトのミイラのようにも見えた。
「……あれ?」
一瞬、布の隙間の所で何かが動いたように見えた。
目を凝らしてみるが、小さくてよくわからなかった。
少し躊躇したが、布を捲ってみる事にした。
「……っ!」
その瞬間、中から大量に白い糸屑が飛び出してきた。
その糸屑はまるで意思を持っているかのように雪耶の腕を這い擦り回った。
「ひっ……うあぁっ!」
思わず後退り、何度も腕を払ったが中々落ちないし、何より嫌悪感があった。
ウゾウゾと這い出てくるそれは、糸屑なんかではなく、蛆虫だった。
どんどん溢れ出てきて、もしかしたら蛆虫が詰まっていたのではないかというぐらいに思えた。
「……だよ」
恐怖で、声がかすれた。
「なんだよコレ!気持悪い!」
勢いに任せて包みを思いきり蹴りつけた。
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