294人が本棚に入れています
本棚に追加
結局いい文章は思い浮かばなかったので、最初の紙の最後に“ありがとう、そしてさようなら”と書き足した。
遺書を封筒に納め机の上に置いた。
バレない内にさっさと死のう。
「お袋ぉ、親父ぃ、ちょっと出掛けてくるわ」
「あら、こんな時間に?
気をつけなさいよ」
「車が多いからな。
死ぬなよ?
なんてな!」
親父は豪快に笑った。
まったく、冷汗が吹き出たよ。
なんて勘の鋭い親父だ。
苦笑いを浮かべながら、ドアを開けて外に出る。
俺ん家はマンションに住んでいる。
八階建ての、普通のマンション。
俺は階段を一段づつゆっくりと登る。
着いた場所は屋上。
一度はやってみたかった、屋上ダイブで俺の人生は幕を閉じる。
転落防止のためにある、金網のフェンスから街を眺める。
最初のコメントを投稿しよう!