〈さよなら〉と〈ようこそ〉

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巨大な交差点を行き交う無数の自動車。 大小様々な建物や、馬鹿でかい高層ビル。 薄暗い通路を歩く人々。 空には眩しく光る月と、点滅している何か。 多分、飛行機だ。 星は見えない。 目に写るのは、美しくも醜い世界。 「汚い世界だなぁ」 金網のフェンスをよじ登り着地する。 足場は狭く、爪先が少しはみ出ている。 靴を脱ぎ、横に揃えておく。 さぁ、世界とお別れだ。 じゃあな。 なんとも奇妙な浮遊感。 ものすごい早さで地面が近付いていく。 あとちょっと……。 もう少し……。 ほんの僅か……。 着いた。 『いらっしゃ~い!』
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