新しい人生

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太陽が昇るよりも早く守の1日は始まった。錆び付いた自転車に股がり坂道と闘う。荷台には山積みになった新聞が載っている。エレベーターがあるのに階段を駆け上がると、太陽が守の体を照らしていた。 学校へと続く坂道はいつものように足を重くした。守は学校へ行くつもりはなかった。叔母が亡くなった今、学校へ行かなくても誰も心配する人がいないからだ。しかし強が望んだため、渋々決意したのである。校門が守の前に立ちはだかり、鎖に繋がれたように守は動きを止めた。
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