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しかし、雅樹は涼平を振り返る事なく、遠ざかって行く。
そんな雅樹に対して涼平は心の中で『寂しい、振り返れ』と念じる。
そんな気持ちが伝わったわけではないだろうが雅樹が一瞬、立ち止まった。
そして小さく振り返って涼平に『お先に』とでも言うように顔の前で手を上げて見せた。
涼平も手を小さく振り返しながらも、それだけで幸せ気分になってしまう。
本心は今すぐにでも雅樹の元に走って行って『どこに行くんだ!』と問い詰めたい。
しかし、そんな事をしたら雅樹は涼平のことを避けるようになってしまうだろう。
何しろ涼平に気持ちと雅樹の気持ちの差が大きい。
まだ恋人ではないのだ。
涼平にとって雅樹は大切な人だか雅樹にとって涼平は頼れる(?)後輩でしかない。
だから今は振り返ってくれただけでも満足しなければ。
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