君と過ごす一夜

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 それはよく晴れた麗らかな六月のある日の事だった。  純白のドレスに身を包み、美しい顔をほころばせて幸せの絶頂にいるのは加藤雅樹の妹、愛奈。 そして、その愛奈の隣に並んで整った顔に優しげな微笑みをたた湛えている新郎は雅樹の同僚で元恋人の山下峰晴だ。  今になっては元恋人と言う言葉が正しいかどうかは分からない。 まだ雅樹は別れ話すらされていないのだから。 恐らく、恋人と思っていたのは雅樹の独りよがりで峰晴にとってはただの暇つぶしの相手だったのかもしれない。 好きだと告白して来たのは峰晴の筈なのに、いつの間に立場は逆転していたのだろう?
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