月曜の夜 (佐川京子&松山由香里)

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 「マスター!  私は適当にお任せするわ  私に似合うカクテルお願いね」  「はい畏まりました」  そういうとマスターは手際よくお酒を混ぜ シェーカーを振り出した  グラスに注がれたカクテルは  少しくすんだベージュ色  「何それー 三十路の京子にピッタリね」  「失礼ね!」  そういいながら京子は由香里を叩いた  「ねぇ これが私に似合うカクテル?  マスター!」  少し怒ったように京子は聞いた  「はい これは  ”エンジェル・フェイス”というカクテルです  直訳すると”天使の顔”です  佐川さんは確か看護師さんだと 以前にお伺いしましたので  前回ご来店された時よりも 素敵な天使の顔になられたと思い お出ししました」  「まぁ お上手ね」  「何照れてるのよ京子  こんなおじさんに惚れちゃダメよ」  「ハハハ 由香里言い過ぎ!」  「手厳しいですね 松山さんは」  こんな由香里との時間が 京子にとっては掛け替えのないものだった  また始まる明日からの辛い日常を 忘れられるひとときだった  (今夜だけはゆっくり眠れそう)  2人の楽しい笑い声は  深まる夜に消えていった
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