月曜の夜 (佐川京子&松山由香里)

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   無駄に明るい街並みを抜け 一本脇の道に入るとそこは  同じ街かと思うほど暗い路地が続いていた  立ち並ぶビルの威圧感に 少し寒気を感じながら  それを振り切るように足早に突き進む 一人の女性がいた  市内の病院で働く看護師の  佐川京子30歳である  京子は友達と待ち合わせているバーに向かう途中だった  暫くその路地を行くと 見覚えのある看板が見えてきた  「ここだっ!」  無事に辿りつけた安心感が京子を包んだ  暗い階段を下りていくと重い扉に  「Offbeat-bar」  と小さく書かれていた  ここに来るのは3度目なのだが なぜか毎回入るのに勇気がいる  それは下界を隔てるような この重圧感のある扉のせいかも知れない  思い切って扉を開けると 静かに流れるジャズがとても心地よく  そして  「いらっしゃい」  マスターの低い声が迎えてくれた  自然と顔に笑顔が零れていた  
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