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彼らは代々特殊な能力を受け継ぐ月代一族の当代である宮野翔・満兄弟。歴代一、奔放且つ革新的で、その能力の最大力量も未知数だった。ただしまだ学生であるため、先代である父・宮野照が本家としての役割の大半を代行していた。
留守がちな父に代わり、兄弟の世話役兼監視役は、本家当主付きの三毛猫・美月が受け持っていた。彼らはまた、歴代一サボり癖がひどい。今日も美月の目から逃れ、当主の部屋である奥の間に隠れているのだった。
「ねぇ、こんな寒い雪の日にはさ、あの人のこと思い出さない?」
凍える手をさすりながら、翔が満にふり返った。
「そう言えば、あの日もこんな雪の日だったよな。あれはホントに参ったからなぁ~二度とごめんだね」
両手に白い息をかけ、翔と顔を合わせ苦笑いした。
それは一年前、「今年は暖冬になるでしょう」と気象庁から予報が出されたばかりの初冬の頃だった。
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