牡丹雪

5/10
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「それだけの手がかりじゃ、難しいよ。もっと絞り込めないのかな?」 カチカチと歯を鳴らしながら翔が答えた。 「せめて、年齢とか、出身地とか…ケータイ番号とか訊かなかったのかよ?」 美月をアンカ代わりに抱いている満も翔に続いた。 雪女はいやいやをするように首をふる。 「そんな…私にはそんな大胆なことできわせんわ」 真っ赤になって俯いた。 彼女の気が昂ぶると、それに連動して室内の温度は下がる。なんとか落ち着かせなくてはたまらない。 「じゃ、どこで会ったんだよ?それくらいなら判るだろ?」 凍えてガチガチ震えながら満が彼女を急かした。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!