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「あの…それは、私の郷の近くにあるスキー場で、その方に私が声を…」
「うわっ!マジで?逆ナンかよ!?」
雪女が言い終わる前に、気が短い満が思わずつっこんだ。一瞬で耳まで紅潮した彼女は顔を両手で隠して、その場に俯せてしまった。
一気に下がる室温…このままでは彼女以外凍死しかねない。
「あの、ごめんなさい!悪気があったわけじゃないんだよ。ほら満、謝ってよ」
翔に促されて満はしぶしぶ頭を下げた。
この雪女を放っておくことはできない。彼女の情緒が不安定なままでは自分で冷気を制御できず、人にとっていかなる障りになってしまうか予測ができない。人ではないモノたちを監視・制裁・保護することは月代一族の代々の役目なのだから…
けれどこんな調子では、話し合いが済んで寒さから解放されるのはいったいいつになることか判らない。
自分たちの腑甲斐なさと、頼れる先代である父の不在を恨む兄弟と三毛猫だった。
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