第5話 小さな声

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やはり電気屋の頃の話。 僕は交換ではなく、新築マンションの電気メーターとブレーカーの取り付けをメインの仕事としてました。 限られた工期で終わらせなければならないので、現場での残業は当たり前 会社に戻ってからも、翌日以降の段取りをするので部屋に戻るのは0時過ぎでした。 これは会社で洗濯やテレビを見ながらのんびりとやってたのもあるのですけどね。 会社の電話でメル友と話した事も… 会社は線路際にあり、近くには「ナースのお仕事3」の舞台となった大病院もあります。 数年前に移転してきたばかりのプレハブ2階建て。 1階部分が倉庫兼作業者の詰め所となっており、ここで段取りをしてました。 その日ものんびりと作業してると、倉庫の隅から物音というか、何かの気配がするような気がします。 移転前の建て物で、誰もいない筈なのに人の話し声がしてビクビクしてたら、単に地下が共同溝と繋がってただけと云うオチがあったので、気のせいだろうと作業を進めておりました。 段取りも洗濯も終わり、玄関の戸締りをして帰ろうとすると…左の耳元で「もう帰っちゃうの?」…と、小さな女の子の寂しそうな声がしました。 夜中です。 当然、周りには誰も…
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