第4話 応答

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東京電力の請負で電気メーター交換する会社にいた頃に、先輩に聞いた話。 先輩が豊島区染井霊園近くの古いマンションに交換に行ったそうです。 そこはオートロックなので入口を開けて貰わないとメーターの所まで行けません(たいてい部屋のドア近くにある)。 古いマンションだからか、数字キーで部屋番号を打ち込むタイプでなく、各部屋毎にボタンがあるタイプ(部屋の数だけボタンある)でした。 交換する部屋には前もってリーフレットでお知らせしてあります。 (メーターは個々の有効期限で交換するので、同じ建物でも別の時期になることもあります。) 今回は一部屋だけでした。 先輩は交換する部屋のインターフォンを押しました。 直に、女性の応答があり、入口を開けてもらいしました。 交換が終わり、工事の控え伝票を渡そうとドア前のインターフォンを押しましたが、今度は応答がありません。 最初からルスなら伝票を置いてくだけなのですが、先程は応答があった以上手渡ししなければなりません。 ドアをノックして呼び掛けていると、隣の部屋の住人が出て来ました。 「そこの部屋の人、一週間前に亡くなってて誰もいませんよ…」 僕もそこに行った事ありますが、共有部のインターフォンのボタンは隣や上下に余裕があり離れているので、別の部屋と押し間違える可能性はほとんどないと思われます。
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