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つないだ手は、ひどく頼りなかった。どちらの手もまだまだ小さくて、誰かを守るのに、十分とは決して言えなかった。日焼けした姉の手と、母そっくりに白い妹の手。
毅然とした姉の声が弱まった。互いの手の力は、ほとんど入っていなかった。それでも、離したら、お互い立っていられなかった。
大丈夫です。大丈夫ですよ。
二人が見守る先には、昏々と眠り続ける母の姿があった。
どうして窓の外がどんより曇っているというだけで、蛍光灯の光が弱弱しく感じるのだろうか。安心できるだけの光が、足りない。
まだ幼い姉妹の小さな背を、ひっしとつながれた手を、その先のベッドに眠る母を、【私】は胸を締め付けられるような思いで見つめる。これは、いつ? いつのことだった?
「……ありがとう、藤子」
はい、姉さん。
【私】は、一体何を見ているの?
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