06:朦朧 

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 走ってくる妹は、二人の友達と一緒だった。  クラスメイトだったか、前にも見たことのある顔ぶれだ。仲良しなのだろう。  妹に対して微笑みかけるけれど、心の内はざわついた。  明るくて、元気で、人気者の妹。  対するように、物静かで、大人しく、ひとりで居る【私】――  桜の木の下に立ちつくす【私】の心が揺れる。  いつの間にか、俯瞰の景色は消えて、【私】は舞い散る桜の下で、地に足を付けて妹と対峙している。 「今、帰り? ひとり? あたし、ゆうきちゃん家に遊びに行ってくるからっ! 遅くなるって、みんなに言っといてっ」 「分かりました。でも、りん――」 「宿題なら帰ってからやるってー。せっちゃんにも、トーコちゃんからうまく言っておいてよお願いっ!」 「夕飯には――」 「分かってるよお。遅れないように気をつけますっ。じゃっあねー」
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