91人が本棚に入れています
本棚に追加
走ってくる妹は、二人の友達と一緒だった。
クラスメイトだったか、前にも見たことのある顔ぶれだ。仲良しなのだろう。
妹に対して微笑みかけるけれど、心の内はざわついた。
明るくて、元気で、人気者の妹。
対するように、物静かで、大人しく、ひとりで居る【私】――
桜の木の下に立ちつくす【私】の心が揺れる。
いつの間にか、俯瞰の景色は消えて、【私】は舞い散る桜の下で、地に足を付けて妹と対峙している。
「今、帰り? ひとり? あたし、ゆうきちゃん家に遊びに行ってくるからっ! 遅くなるって、みんなに言っといてっ」
「分かりました。でも、りん――」
「宿題なら帰ってからやるってー。せっちゃんにも、トーコちゃんからうまく言っておいてよお願いっ!」
「夕飯には――」
「分かってるよお。遅れないように気をつけますっ。じゃっあねー」
最初のコメントを投稿しよう!