06:朦朧 

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【あのさ、俺、頼みがあるんだけど。きいてくれないか?】  ぶっきらぼうな声が、脳裏に響いた。  なぜだろう。はじめて聞く声なのに、なぜかとてもよく知っているような気がした。  【私】は首をかしげた。  この男の子は誰だろう? 『……とつぜんですね。あなたは、誰なんですか?』  じっと、相手の顔を見つめてみたけれど、影になっていてよく見えない。顔が見えないなんて不気味に感じそうなものだけれど、【私】は不思議と怖くなかった。 【誰だっていいだろ、そんなの】  焦れたような声に、【私】は首をかしげる。 『どうして、私に?』 【あんたにしか、できないことだから】  ――【彼】はそう言うとまっすぐに【私】を見て、笑った。
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