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【あのさ、俺、頼みがあるんだけど。きいてくれないか?】
ぶっきらぼうな声が、脳裏に響いた。
なぜだろう。はじめて聞く声なのに、なぜかとてもよく知っているような気がした。
【私】は首をかしげた。
この男の子は誰だろう?
『……とつぜんですね。あなたは、誰なんですか?』
じっと、相手の顔を見つめてみたけれど、影になっていてよく見えない。顔が見えないなんて不気味に感じそうなものだけれど、【私】は不思議と怖くなかった。
【誰だっていいだろ、そんなの】
焦れたような声に、【私】は首をかしげる。
『どうして、私に?』
【あんたにしか、できないことだから】
――【彼】はそう言うとまっすぐに【私】を見て、笑った。
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