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ああ、頭が痛い。目がかすむ。
裏側ばかりが自己主張して、表側がよく見えない。
ふらり、とよろめきながら、【私】は無意識に足を進める。
【私】を取り囲むものたちに、誘導されて。
「妹を……探しているんです」
足の裏に、枯れ草を踏んだ感触。大丈夫だ。まだ、感覚はちゃんとある。ざく、ざく、と踏みしめる音。だけど、不思議と寒さが薄れてきた。よかった――ここは、居心地がいいみたいだ。
『妹?』
『いもうと?』
『とうこの妹?』
『人間の子』
『さあて、見たかしら』
『どこかに、居たかねえ』
『人間の子ども』
ざわめく声の中から、確かにきこえた。
『この山に迷い込んだ子なら、知っているよ』
「えっ」
希望の声に、振り返る。
薄青い影のような人型をした"なにか"が、【私】の驚きを肯定する。
『案内してあげよう、とうこ』
一も二もなく頷いた。行かなければ。
ああ、でも頭が――痛い。
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