101人が本棚に入れています
本棚に追加
夕方の電車は
おれんじを散らしながら
哀愁と一匙の勇気を胸に
走っている気がする
ローカルな線を
ゆったりと
ひどく鈍い巨体を
世界に晒しながら
ふと
たくさんの愛着が
この塊に感じられたのは
不器用なあたりが
私と同じだからだと思う
スライドされる
セピアの残像を
張り付けた窓や
本当は苦手な退屈を
飲み込んできめられた道を走っている辺り
こういうこと
何人が考えただろうね
ふと思う
ゆずの香りが
横切った気がした
それは昔日の残像で
まだまだ卵のわたしが
佇んでいた痕だった
最初のコメントを投稿しよう!