脱獄

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後ろから、草を掻き分ける音がする。 ヘレンは目をあけることが出来なかった。 「…ヘレン…」 その途端、気が遠くなるように力が抜けた。 ゆっくり目を開けて相手の顔を見る。 「シェーレ?」 「そうだけど…?」 ホッとして立ち上がった瞬間、 バンッという音が、ヘレンの頬をかすめていった。 シェーレの後ろに牢兵が1人銃を構えていたのである。 もう一発撃とうとした時、 牢兵は倒れた。 シェーレが、牢兵の額を撃ったのである。 ヘレンは、何が起きたのかわからずに立ち尽くす。 シェーレが、牢兵の死を確認して、ヘレンの方を見ると、 ヘレンは手についた血を黙って見つめていた。
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