運命の歯車

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ふと、ヘレンはあることに気が付いた。 ヘレンには、面会にくる人など誰もいないのだ。 両親は小さい時に亡くなっていた。 キチェフ家のメイドが心配してくるはずもない。 誰…? 重りを引きずりながら、面会室へとやってくると、 背の高い男が一人座っていた。 立派な服に、ストレートのブロンド髪を後ろで結んでいる。 きりっとした目…どう見ても見覚えはない。 男は、ヘレンの顔を見ると驚いたように目を丸くさせた。 牢兵が外に出ると、 「あなたは、殺人犯じゃないはずだ」と一言。 一瞬、わけがわからない状態になったが、 ヘレンは、首を縦にふった。 「あの犯人は、俺だから…」 ヘレンは、叫びそうになるのを必死でこらえた。
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