1016人が本棚に入れています
本棚に追加
ふと、ヘレンはあることに気が付いた。
ヘレンには、面会にくる人など誰もいないのだ。
両親は小さい時に亡くなっていた。
キチェフ家のメイドが心配してくるはずもない。
誰…?
重りを引きずりながら、面会室へとやってくると、
背の高い男が一人座っていた。
立派な服に、ストレートのブロンド髪を後ろで結んでいる。
きりっとした目…どう見ても見覚えはない。
男は、ヘレンの顔を見ると驚いたように目を丸くさせた。
牢兵が外に出ると、
「あなたは、殺人犯じゃないはずだ」と一言。
一瞬、わけがわからない状態になったが、
ヘレンは、首を縦にふった。
「あの犯人は、俺だから…」
ヘレンは、叫びそうになるのを必死でこらえた。
最初のコメントを投稿しよう!