脱獄

1/3
前へ
/222ページ
次へ

脱獄

その夜、ヘレンは、なかなか眠れずにいた。 シェーレという者が、本当に自分を牢から出してくれるかはわからない。 もし、シェーレが逃げれば、 自分はその罪を背負って死ななくてはならなくなる。 理不尽だとヘレンは思った。 だが、いくら自分が犯人でない。シェーレが犯人だと言ったところで、 信じてもらえず、死刑になることはわかっていた。 シェーレを信じてみよう。 夜中2時… 真っ暗な暗がりの中、バンッと銃声が鳴り響く。 突然、牢の扉が開いた。 「ヘレン!」 その呼び掛けに、ヘレンが答えると、 シェーレは、ヘレンの手を取り、重りを抱えて走りだす。 牢の外には牢兵が集まり、火がいくつも見えた。 草むらに隠れ息をひそめる2人。 「ヘレン、少しここで待ってて。」 シェーレは、銃を片手にすばやく進んで行った。 銃声が、シェーレの行った方向から何度も鳴り響く。 祈るように待つヘレン。 ガサッ!!!
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1016人が本棚に入れています
本棚に追加