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脱獄
その夜、ヘレンは、なかなか眠れずにいた。
シェーレという者が、本当に自分を牢から出してくれるかはわからない。
もし、シェーレが逃げれば、
自分はその罪を背負って死ななくてはならなくなる。
理不尽だとヘレンは思った。
だが、いくら自分が犯人でない。シェーレが犯人だと言ったところで、
信じてもらえず、死刑になることはわかっていた。
シェーレを信じてみよう。
夜中2時…
真っ暗な暗がりの中、バンッと銃声が鳴り響く。
突然、牢の扉が開いた。
「ヘレン!」
その呼び掛けに、ヘレンが答えると、
シェーレは、ヘレンの手を取り、重りを抱えて走りだす。
牢の外には牢兵が集まり、火がいくつも見えた。
草むらに隠れ息をひそめる2人。
「ヘレン、少しここで待ってて。」
シェーレは、銃を片手にすばやく進んで行った。
銃声が、シェーレの行った方向から何度も鳴り響く。
祈るように待つヘレン。
ガサッ!!!
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